空軍野戦師団の突撃砲兵 2
ドイツから10数枚ほどのセットで出てきた国防軍の突撃砲兵の写真の一部を公開します。
これらの写真は、大戦末期1944年頃のイタリア戦線での突撃砲兵将校の軍装を頭から足の先まで全身に渡り鮮明に見ることが出来る貴重な資料として軍装の研究等にも使えるかもしれません。
この写真を含めたセットにはキャプションは全く付属していなかったが、私が入手出来なかった他の写真にはイタリアのセモベンテ突撃砲の写真があったことや、右の将校のズボンがイタリア製迷彩生地だったりすることから、1944年のイタリア戦線での撮影とおおよそ判明しています(44年というのは販売者が他の写真の関連から教えてくれた情報です)
M42型野戦服にクラッシュキャップと、典型的な戦争後期に見られる将校のスタイルです。
胸の鷲章が将校用の刺繍仕上げ等ではなく最初から野戦服についていたであろうBEVO(機械織り)タイプなのは、この少尉が飾らない実用一点張りの主義なのか、あるいはつい最近将校へ昇進したばかりで制服のオーダーの余裕がなかったのか、はたまたイタリアではドイツ製のテーラーメイドが入手できなかったのか…
野戦服の下にネクタイつきのシャツを着込んでいたり、襟章のみ突撃砲兵用で新たに取り付け直したような感じがするところを見ると、物資不足で正規の突撃砲兵ジャケットがなく代用としてこの野戦服を着用しているとも考えられます。
左胸の勲章は戦傷章の黒章と陸軍戦車突撃章なのだが、戦傷章の方を上に取り付けてるのは珍しいかもしれません。
制帽のバイピングはおそらく装甲科のピンク色。判別は難しいのですが、帽章は胸の国家鷲章と比較するとBEVO製ではなく刺繍モールに金属製のコカルデのように見えるので、通常の制帽からチンストラップを外してクラッシュキャップ風に仕上げたものを被っているのかもしれません。
空軍野戦師団所属と思われるこの突撃砲兵中尉は、セットの中ではこの1枚にしか写ってないので、果たしてどういう経緯で撮られたののなのかなど、撮影に関する背景については全くわかりません。
隣の将校の野戦服の色合いから比較すると、LWのブルーカラーではなくフィールドグレーのフリーガーブルゼを着用してる可能性が高いです。 (ブルーグレーは、白黒写真だともっと濃い色で表示されることが多いので〜)
加えて襟章には空軍所属を示す階級章が見られないため、この中尉の所属する空軍野戦師団が1943年11月以降に陸軍所属となって以降、意図的に外されていると考えることも出来ます。
左胸の勲章は戦傷章(色合いからすると黒の剥げたものか、金章?)に陸軍戦車突撃章と、この将校が陸軍師団より空軍野戦師団へ転属となった可能性が伺えます。
規格帽の側面にはなにかのバッチみたいなものが確認出来ますが、限界までアップにしてもそれが何か判別出来ませんでした。
ちなみにこのバッチは、他の写真の陸軍将校にも見られるので、一体どういう意味があるのか非常に興味深いところです。
2005年1月10日
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