滑走路上での会見、ケッセルリンク元帥と高級将校達


単品で見つけたこの1枚の写真は、gfm Kesslring とのキャプションがあるだけで、時期や場所についての記載は何もないものでした。
gfmというのはGeneralfeldmarschall(元帥)の略字で、Kesselringは有名な空軍元帥ケッセルリンクということで、中央の士官がケッセルリンク元帥であることを指してるということ以外、キャプションからは何も読み取れない、資料的価値としてはあまり高くはない1枚ではあります。
ただケッセルリンク元帥は1940年7月19日付で元帥に昇進しているので、写真は少なくとも1940年7月以降の撮影と大まかに確定することが出来ます。

遠目で表情の判別は難しいですが、左から2番目の将校がケッセルリンク元帥。 よく見ると手元に元帥杖らしき棒のような物体が写っています。
その左側の人物は、この基地を管轄する軍司令官、右の2人はその幕僚達と思われます。

キャプションに情景についての説明が全くないので推測しか出来ないのですが、元帥がライフジャケットを着用しているところを見ると、これから後方のJu52に乗り込みどこかへ向うのか、それともこの基地へ到着したばかりなのか…
ライフジャケットを着用していることを考えると、この基地が中央から海を隔てたどこかにあることも想像させます。
手前のいかにも将官用に見える高級車のプレートとペナントは、この車が単なる航空団司令のものでははなく、更に1ランク上級の空軍司令部(Luftwaffenkommando)クラスが所有する車両とわかります。
ただしケッセルリンクが元帥ということを考えると、このペナントが元帥専用旗となっていないので、彼の専用車ではなく、おそらく元帥を送迎するため高級将校が滑走路まで乗りつけたものと考えられます。


後方に小さく写る機体を拡大すると、更に写真の時期と場所についての手がかりを得ることが出来そうです。
上のJu87は翼下の落下増槽から、B型を長距離飛行用途に改良したR型と判明。
更にその後方には、Bf110とおぼしき機体も見ることが出来ます。
BF109はプロペラスピナーの形状からF型、更に機体側面の吸気口に熱帯地向けの防塵フィルターと長距離飛行用の300リットル落下増槽が装着されています。

Ju87は塗装がサンドイエローにダークグリーンの迷彩を施されたように見え、Bf109はサンドイエローの単色塗装に加えて、国籍マーク後方には41年頃まで使用された第3飛行隊を表す記号、展開空域を示す帯が地中海・アフリカ向けの白色であることから、機体の登場時期と両機の長距離飛行仕様を考えると、41年2月〜42年の北アフリカ戦線向けの航空機の中継基地という可能性が濃厚です。

あとは兵士達の軍装が熱帯仕様でないこと、草木などが見当たらず後方に建物や山脈などの景色も全く見えないところから、南イタリアのどこか… クレタ島もしくはシチリア島あたりが有力と思われますが、いかがでしょう?



最終更新:2004年10月28日
改訂:2005年03月16日


戻る